拓実はあたしの手を強く握った。
「もう・・・二度と離さねぇからな」
こんな顔の拓実は、見たことない。
「お前の泣いてる顔なんて見たくねぇ」
「拓実・・・」
「俺は絶対泣かせたりしねぇから・・・」
また涙が出た。
あたしは比呂と別れて、
拓実のもとへ行くの?
あたしと比呂はもう、
戻れないのかな?
分からない。
あたしは・・・戻りたいの?
もう一度比呂を信じて、比呂の元へ帰るの?
でも。
あたしは拓実と寝た。
それが自分の意思でじゃなかったとしても。
抱かれたんだ。
比呂との些細なことで、
あたしは他の男に抱かれた。
最低だ・・・。
何て、最低なんだろう・・・。
今更後悔なんかしたって遅いって分かってる。
何で泣いてるのかも、
何でこんなに苦しいのかも、
分からないの。
何もかも・・・分からないや・・・。