「・・・ん・・・」
「目ぇ覚めたか?」
目を開けると、見慣れたあたしの部屋。
あたしはベッドで寝てた。
拓実の顔と、
起きあがろうとしたときの自分の体の痛みで、
昨日の事を何となく思い出す。
「・・・拓実・・・」
か細い声しか出ない。
「美沙、守ってやれなくてごめんな?」
「ううん。拓実が悪いんじゃないから・・・」
拓実の顔には傷があった。
喧嘩したの・・・?
「あたし、昨日・・・」
あんまりよく覚えてなくて。
「途中で頭打って気失って倒れたんだよ」
「・・・そっか」
また涙が滲む。
「でもね!比呂、ほんとはいい人なんだよ!いつもはもっと優しいし、暴力なんてふるわないの!昨日は、ちゃんと言ってなかったから、あたしが悪いの!比呂は・・・」
「美沙、もういいよ」
拓実はあたしの言葉を遮り、あたしをぎゅっと抱きしめる。
拓実は何も言わない。
ただただ、力強くあたしは抱きしめられる。