左腕が飛ぶ。
しかし、その無情な死の宣告は彩夏にとって奇妙な無感動の対象でしかなかった。

右手のみであれを構えると先端から滴る彼の血があった。もはや真っ赤となった思考の中、思い出す。

彼の笑った拗ねた優しい、顔。そんな顔を思い出すと少し笑みが零れる。楽しかったな―そこで思い立ったように表情が変わる。