翔が影でいっぱい泣いてたのを私は知ってた。
だけど、絶対に翔は泣き言を言わなかった。
周りを悲しませないように。
周りがいつも笑っていられるように。
その姿が痛ましくて、幼いながらも私はいつも胸を痛めた。
自分が何もしてあげられないのがとても悲しくて、悔しくて私も泣いた時もあった。
翔はなおも続ける。
「学校のみんなも、もう俺のこときっと忘れてる………」
たしかに、最初の頃はちょくちょく見舞いに来てた友達やクラスメイトも段々と姿を見せなくなり、今では全く話にも出なくなっていた。
子供は悪気が無い故に残酷だ。