掴むはずだった物が無かったせいで、バランスを崩して前のめりになる。 堪えることができずに、翔に向かって倒れこむ。 「綾っ!!」 翔が私に向かって手を伸ばしたのが視界の隅に映る。 けれどその腕は何も掴めず、私を支えたのは 太い、桜の幹だった。