「寂しいとかそういう感情はなかったな。
ただ生きるのに必死だったから。そしていつしか感情なんてなくなった。
暇を潰すように、村にいる奴等を襲ったりした…」


え…

ラウルが…そんなことを…


「何度も血を見てきたんだ。俺はいつしか村では冷酷なやつで有名になった。誰も寄ってこなくなった。」

見上げたラウルの顔は悲しみで満ちていた。


アタシはただ黙って聞くしかなかった。


「そんな時な、モーガンやコーリーもあの場所に来た。モーガンは当時まだちっさかったから面倒見てやっていたんだ。そのうち居なくなってしまったんだが。そして、俺はベーモンド様に拾われたんだ。」



「パパに!?」



「俺の噂はそこら中に広まっていたからな。
ベーモンド様が居なかったら俺は今頃…牢獄にいたかもしれない。」



ラウルはただの俺様悪魔だと思っていたけど、そんな過去があったなんて知らなかった。




「なあ、覚えてるか?
俺が初めて城に行った時、ルウナは初めて会ったにもかかわらず俺に遊ぼう~って駆け寄って来たんだ。



「ごめん…覚えてないかも。」


「まあ、ルウナはちっさかったからな。
俺にとっては俺みたいなやつにルウナは構わず駆け寄って来てくれたことか嬉しかったんだ。それからかな…俺はお前に惹かれていった。」



ラウルは、アタシの頬を優しく包んだ。



「ラウル…。」



「だからお前を絶対手に入れる。」



トクントクンと心臓の動きが早くなっていくのがわかる。


どうしてなのかわからない…



ラウルにまた流されてしまっているのかもしれない。



「ルウナ…。」


「ん?」


「俺が怖いとか思わないのか?」


「思わないよ。
勿論、びっくりしたけど。ラウルはラウルよ。」



「そっか。」


ラウルは優しく微笑むと、チュッとまた唇を落とした。