16年間生きてきて、
ずっと不思議だった事があった。


私には、家がない。
施設育ち。



施設に来たのは2年前。


気付いたら此処にいて…










2年前から、その前の記憶がない…


ルウナという名前しか
覚えて居なくて、『源』
は施設の園長の名字…





記憶を思い出そうと
すると…胸が痛くなる…



だから、思い出すのは辞めた…





普通の何処にでもいる
女子高生だ。


彼氏は居ないけど…
それなりに楽しくやってる。



友達だっている。




なのに…




異世界なんてあるなんて信じらんない!



『悪魔』なんて
空想だと思ってた…




自分がその悪魔だなんて
思いもしなかった…







私が、魔界のお姫様~!?





信じらんない!!





源ルウナ16さい。


本当は、自分が源という名字かどうかはわからない。


記憶があまりなくて、
名字がわからなかった。


『源』というのは、ある人が私につけてくれた。


歳だってわからない。


ただ、なんとなく見た目からして16くらいだろうと
自分で推定した。



高校だって通ってるしね!



カーテンから眩しい光が差し目が覚めた。


朝…?


いや…時計を見れば…


10時だ。


朝は本当に苦手で、
今でさえ光が眩しくて目が開かないくらい。



きっと低血圧だアタシ。




ノロノロと制服に着替え、軽く髪の毛を整える。


前から気になってたけど、アタシの髪はブロンド。

それに目が青い。


なんかのハーフなのかな。


2階の自分の部屋から、
一階に降りる。


「ルウナ、また遅刻じゃないの~」


「だって、朝は苦手なんだもん…」


朝からガミガミうるさい
おばさんだな~。


おばさんは、アタシに名字をくれた人。



そして、ここの施設の園長。


アタシは、2年前気づいたらここにいた。


それからずっとここで世話になっている。



なぜここに来たのかわからない…


当時、アタシは施設の庭に倒れていたらしい。



2年前以降の記憶はない。



不思議だらけだけど、
考えるの面倒だから辞めた。



それなりに楽しんでるし。



呑気に野菜ジュースを飲み干し、学校へ行く。



「いってきまあ~す~」


そう言って立ち上がろうとしたとき、ドクンと胸が痛くなった。



……っクっっ。


「ルウナ?どうかした?」


「…なんでもない。」



おばさんに声をかけられ
胸の痛みは無くなった。



ほんの一瞬…


ほんの一瞬だけれど…



誰かが私を呼んでいたような…



まさか幽霊?



アタシ霊感あったりするの!?



気のせいか…



学校に着いて、ガラリと教室のドアを開ける。


「みーなーもーと!!
お前また遅刻か!」

勿論、授業は始まっていて先生の怒鳴り声が響く。

うるさいな~。

「だって眠いんだもん。エヘヘ。」


「エヘヘ…じゃないだろ。バカにしてんのか?」


「わかったから。
さっさと授業進めてくださーい!」



全く眠いんだもんしょうがないでしょ!?



「ルウナ、相変わらず
寝坊助だな。」


「うるさいよ。」



アタシの前の席の男がからかう。


コイツは、クラスメイトのエイタ
瑛太。瑛太は、唯一仲がいいやつ。


見た目からか、どうも女子は近寄ってこないんだよね。


友達と呼べるやつは
瑛太くらいかな。




「つうかさ今日顔色悪くねえか?」


「そう?」


「いつもより白い。
つか、血色わりいな。」



そうかな~。


鏡見たけど自分では気づかないかったよ?



それにしても眠い。



いつもよりまして眠い…



「先生~保健室いってきまーす!」



「おいコラ。源さばる気か?」



「じゃ~ね~」



うるさい先生からうまく逃げて、保健室へ行く。





保健室には誰もいないみたい。


ベッドに潜り込んで
数秒で眠りに落ちた。





……………。



…………………。


薄暗い空…。

広い庭に大きな屋敷。

庭にある噴水で、笑っている小さい女の子。


なんかアタシに似ている。

とても楽しそう。




なんだろう。


不思議と懐かしい感じがする。



そこにやって来た、


体が大きくて…
姿は人間ではない…


耳もとんがっていて
顔に模様がある男の人



なぜだかアタシはこの人を知っている。

…………………。


………。



「……ナッッ。ルウナ!」


「…ん。」


あれ…目の前に瑛太の顔がある。



目の前に瑛太の顔……!?



「っギャアア!」


「ギャアアって、人を化けもんみたいに叫ぶな。」


「瑛太、顔近い!」



「へえ~お前女の子みたいな所あるのか。照れてる~」


「照れてないから。」



って…あれ夢見てたのか。


不思議な夢だったな~