「え…」


言葉が出ない。

違う…訳じゃないし。
ていうか、ここで否定したら二度と告白できない?

でも…。

告白する気はない


…はずなのに。


「すき、です、よ?」


思考が飛ぶ。

彼女がいるとか。
仮の想いだとか。

言うつもりないとか。


どこかで理性が叫んでる。

なのに、私は肯定してる。



振られるに決まってる。



「へえ。…俺、女いるけど?」

「知ってます…」


そう、知っている。
名前も顔も知らなくても、存在は知ってる。


「…俺、お前に興味ないけど?」

「はい」


意地悪だ。そんな言い方しなくてもいいのに。




「俺に、抱かれたい?」





…。

……はい?



「だっ…!な!み、宮本さん彼女いるし!き、興味ないって…!」

「うん。で?抱かれたい?」


彼女がいて。

…私に興味がないって言い切ってて。


それでも?



こんな男、私は知らない。

残酷な人。






…仮初めの片想いで。

…こんな酷いこと言われてるのに。


なんで、気持ちが冷めないの…?




気がついたら、本庄さんよりずっと好き。


初めから終わってる恋。


始まらないはずの恋が、はずみをつけて動き出す。




「…はい」




…私は、泥沼に自分から足を踏み入れてしまった。