その夜、帰宅した私は、眠るまで、とベッドで読書をしていた。


読書って行っても、最近は話の複雑はものは時間がなくて読めないでいるから、ライトなラブストーリー。

平凡な女の子が、王子様みたいな人と出会って愛される、王道的なもの。


現実は、厳しい。


好きだった人に恋人ができて。

忘れるために仮初めの片想いをして。


馬鹿みたい…。


ちょっと落ち込んで、寝ようと本を閉じる。


~♪♪~~♪~

まだ鞄の中にある携帯が鳴ってる。

「はいはい、誰…」

鞄から引っ張り出した携帯の画面には、「宮本さん」の文字。

げ、見積り間違ってた?!


そう思って慌てて電話に出る。

「はい、山崎です」

「お前出るの遅い」

「え。あ、すみません…鞄の中にあったから」


開口一番、名乗りもしないで文句…。おかしな人だと思う。

「えと、どうしたんですか?こんな時間に…」

見積り間違ってました?とは流石に聞きにくい。

「あ~ありがとな!」

ちょっと覚悟した私の耳に届いたのは、ぶっきらぼうなそんな言葉。

「へ?」

「あれで通ったからさ。昨日残業したみたいだし、礼言おうと思って」

…そのためだけに電話してきたの?

「あ、いえ。通ったなら…良かったです」

「おう。ありがとな」

ああ、この人が部下に慕われる理由がわかった。

こんなフォローされたら、また頑張りたくなるよ…。

「宮本さんが慕われるわけですね…」

気持ちがそのまま言葉に乗る。

「はぁ?でも俺我が儘だし。言わないだけで不満溜めてるやつとか絶対いるだろ」

「それはそうかもしれませんけど…」

でも、慕われてるのも事実だし。

「みんな結構尊敬してると思いますよ?私も宮本さん好きですもん」

「………」

なんだ、この「間」。
不思議に思いながら、そのまま耳を傾けると、爆弾発言が飛び出した。

「お前…俺のこと好きなの?」






…爆弾発言を先にしたのは、私だったらしい。