ガチャリ。


鍵を開けて、中に入る。


「寒いな」

そう呟きながらエアコンを入れる宮本さん。


私はコートは脱いだものの、どうすればいいかわからないまま立ちすくんでいた。


宮本さんが近付いてきて、立ったまま抱き締められる。

「…何震えてんの」

「……っ!き、緊張、して…」

本当に目が潤む。


それを聞いた宮本さんは、フ、と意地悪げに笑い、そのまま首を傾けてキスをしてくる。

軽く触れるだけのキスなのに、顔がますます火照る。

体を離して、宮本さんは真っ直ぐに私を見て問う。


「山崎。…覚悟は出来てるか?」


こくりと、頷いた。






「出来てるなら…お前からキスしろ」







その言葉に戸惑いながら、真っ直ぐに宮本さんと目を合わせ、少し背伸びをして…。

震える手を宮本さんの頬に添えて、


チュ…


軽い、けれど今までのどんなそれより重いキスをした。