ドキドキと心臓の鼓動が耳元で聞こえる気がする。

歩いてるのに、平衡感覚がない感じがする。


どうしよう、私、めちゃくちゃ緊張してる…。



当たり前だけど、初めてではない。

体だけの男もいたのに…。


ぐるぐる色んなことを考えながら宮本さんについて歩いていると、不意に手を取られた。


「…っ!わ、私手冷たい…!」

「平気」

びっくりして、慌ててそんなことを言うけど、宮本さんは素知らぬ顔。


もう、どうにかなりそう…!

冬なのに顔が熱い。

握られた手は汗ばんできて。



…泣きそうだ。



悲しい、辛いじゃない。

緊張のあまり、目の奥が熱くなってくる。



「…腹減ってるか?」

「…大丈夫、です…」


ていうか、それどころじゃない…!


「そ。じゃあ、ここにするか」


そう言って立ち止まったのは、ホテルの前。


部屋を適当に選んで、鍵を貰って進む。



…エレベーターの密室に息が止まりそう。



…部屋に入ったらどうなるんだろう。




私の不安をよそに、部屋に着いた。