駅の逆側。


って言っても広い。


どこにいるんだろう?

そう思っていたら、また電話が鳴った。

「はい」

「信号渡ったとこ」


暗くてよく見えないけど、そこにいるらしい。


信号を渡ると

「見つけた」

と言って電話が切られ、代わりに背の高い影が近付いてくる。


「…行くか」


ぶっきらぼうな言い方。


…そう、これはデートじゃない。

私たちは恋人じゃない。



なのに、なんでこんなに胸が高鳴るのーー?