“あの満月の話は、信じないようにしてるんだけどね”

稜君は、最後にそう言って笑って話を終わらせた。


――だけど、次の日の夕方。

私は稜君からのメールで、彼のお婆ちゃんが亡くなった事を知った。


LINEではない彼からのメールには、

「ばーちゃんの事、試合が終わるまでは、誰にも話さないで欲しい」

という事と、最後には……

「美月ちゃん、ありがとう」

そんな言葉が書かれていた。


だけど私は、彼の為に何もしてあげられなかったから。

だから、稜君の今の気持ちを考えると、後から後から涙が零れて、結局一睡も出来なくて。

次の日は、泣きはらした目で仕事に向かったんだ。