「……何してたの?」
「お風呂掃除ー! 久し振りに一緒入ろっ!」
子供みたいにニッコリ笑う稜君の顔が、もの凄く嬉しそうで……。
「そうだね! 入ろっか!」
いつだって、私までつられてニコニコしてしまうんだ。
「よしっ! そうと決まったら……」
「え?」
「こんなのは、いらないぞー!!」
「えぇっ!? ちょっと!!」
「あはははっ!」
「いーやーだー!! 笑い事じゃないからっ!」
体に纏う毛布を引っ張られて慌てる私と、そんな私にお構いなしに、笑いながらそれを巻き取り続ける稜君。
そのまま、ビックリしているポーキーの横をバタバタと走り抜け、お風呂に駆け込んだ。
「もー、朝から疲れるじゃん!」
「あははっ! でも、楽しいでしょ?」
バスタブに浸かりながら、屈託なく笑う彼の笑顔に、胸がチクンと音を立てる。
すごく穏やかで、幸せな時間。
そんな時に、やっぱり思ってしまうのは――“こんな日が、毎日続けばいいのに”なんて、今は叶わない、どうしょうもない事。