「美月……っ」
稜君の、少し苦しそうな声も、
「愛してるから」
囁くような、甘い声も、
「ずっと、俺だけ見てて――」
切ない声も、全部私だけに向けられる、愛しい言葉。
愛おし過ぎて、胸が痛いよ……。
「いっぱい泣いてよ」
「……っ」
「俺の前でだけ、いっぱい泣いて」
涙を零す私を、あなたはその広い胸で、力強く抱きしめてくれる。
「稜君」
「……うん」
「離れたくない」
「うん、俺も」
離れている時は、時間が早く過ぎ去る事を、あんなにも願っているのに。
部屋に響く時計の針の音が、今は耳触りでしょうがない。