「すごいね! チームは?」

「リヴァプール」

「そっかぁー。じゃー、有料チャンネルに入らなきゃだ!」

上手く笑えているのかはわからないけど、とにかく笑顔を浮かべる私の肩を、いつもよりも口数の少ない稜君がゆっくり引き寄せる。

そして、ポツリと言葉を落とす。


「ごめんね」

「なに謝ってるの! 夢が叶うんだから……もっと嬉しそうにしてよー!」

そう思っているのは事実だし、そうじゃないと私も辛い。


「日本にいられるのは、あと三ヶ月弱かぁー」

「……うん」

「その間の空いた時間は、全部美月ちゃんにあげるから」

「へへへ」

「なーに? その怪しい笑い」

「嬉しいよ」

「……」

ありがとう、稜君」


顔を上げた私と、私を見降ろす稜君の視線がぶつかる。

ゆっくりと瞼を閉じた私の唇に、稜君の温もりが重なって――少しだけ、本当に少しだけ、泣きそうになった。


稜君。

あと三ヶ月もない短い時間を、どんな風に過ごそうね?


私は――……

いっぱい笑って、過ごしたいな。