稜君が作ってくれたゴハンを食べた後、並んで座ったソファーの上。
「話、聞いてもいい?」
やっぱり心臓の弱い私は、隣の稜君を見上げて切り出した。
それに、ちょっと困ったような笑顔を見せた稜君。
「……単刀直入だね」
「ごめん。でも気になって、なんかダメだ」
「そうだよね」
それから“フーッ”と息を吐き出して、ゆっくり私に向き直る。
「来年の頭に、イギリスに行く事になったよ」
イギリスってことは……。
「プレミアリーグ?」
「うん」
――プレミアリーグ。
イングランドのトップリーグで、プレミアの選手は「世界一忙しいスポーツ選手」と言われるほど多忙らしい。
他のリーグと違って、クリスマス休暇も、お正月休暇もない。
「そっか……」
“じゃー、なかなか会えなくなるね”――その言葉を、静かに呑み込んだ。