「亜子、顔赤いよ?」
「えっそう!?」
桜の木の下でうずくまる亜子。
しゃがみながら隣に居る美加。
亜子の頬は赤く染まっていた。
なんだかおでこが熱い…。
体温が上がりっぱなしなんだろうな。
落ち着け自分…亜子はそう言い聞かせた。
しかしどうしても顔が笑ってしまう。

「きもいよ」
「ひ、ひどっ」

美加の容赦ない一言。
あのあとその場に待機していたところ、美加と悠が通りかかった為、龍を運んでもらったのだ。
事情を聞かれるまでもなく、今に至る。

「昨日どこに泊まってたの?」
「あ~うん…成り行きで、友達の家に…」
「友達?誰?」
亜子は思考回路を張り巡らせて、答えを探す。
10秒くらいすると頭に名前が浮かんだ。

「唯!!」
思い出せたことに対して笑顔になる亜子。
しかしその言葉を聞いた美加の顔は、一気に青ざめた。

「…唯って…京の近くの屋敷の?」
「えっうん…どうかした?」
「…何でもない。ね、そろそろご飯食べましょ!!お腹すいちゃって」
そう言って二人は厨房に向かった。
亜子はその美加の反応に、何も疑問を感じなかった。

ーごめんね。
このとき気付いていれば…