「…いた…」
ーえ…。
龍がこぼした一言。
何でそんな事言うの…。
あんな態度とっておいて…。

「ごめん、亜子。俺…本当に馬鹿で…」
龍の弱音を聞いたのも、初めてだった。
亜子はそっと龍の背中を叩いて言った。

「龍様のせいじゃありませんよ!!私のせいなんです!!」
龍の力は次第に弱まって来ているが、離してくれる気配は無し。
「…でも」

ズッ

「えっ!?…」
そのまま下におさえこまれた形になり、呆然とする亜子。
龍は目を閉じている。どうやら寝ている様子だった。
やましいことをしたかったわけではないらしい。

ーそれにしても会話の途中で眠るって、相当疲れてるんだね…。
亜子はそのまま龍の頭を撫でた。
ー心配しててくれたんだ。
あんな言い方しちゃったのに…。
やっぱり龍様は優しいんだね…。

彼のぬくもりを感じる。
暖かくて、心地がいい…。

「亜子…」
龍が亜子に話しかけた。
少し意識はあって、完全には寝ていないよう…。
「何ですか?」
龍はそのまま亜子に顔を近付けた。

「ー龍さ…」








彼は口付けをすると、今度は本当に眠ってしまった。