「亜子はどこに行ったんじゃ?」
屋敷では悠が不思議そうに龍に聞いていた。
龍は目を丸くし”?”を浮かべた。

「いない…のか?」
あれから24時間がたった。
いくら心の整理がしたかったといえ、まだ戻らないのは変だ。
龍は立ち上がって部屋を出ようとしたが、美加が呼び止めた。

「どこいくの?亜子のところ?」
「ああ」

悠も口を挟んだ。

「そんなことしなくても帰ってくるじゃろ。亜子だってもう15歳じゃ、迷子になることなんて…」
「そんなのわかってる!!」

ーあ…。
つい大声を出してしまった。
美加を見ると呆然として口を開けている。
龍は気まずそうに目をあわせると部屋を出て行った。
何故か、その足取りは重かった。


ー俺の馬鹿…。

自分の部下にあたってどうするんだ。
そもそも最近の俺は何だか変だ。
亜子は…違うって分かってるのに。
なのに皆は考えを改めようとしない。
指輪の件だって…亜子のせいじゃないのに。
何で仲良く生きれないんだ?
俺だって戦争は好きじゃない。
そんなの当たり前だ。

だけど、しなくちゃお前らは大事なものを奪っていくだろ?
自分の大切なものを守る為に、皆戦っているんだろ?

ー勝ち残らなきゃいけないんだ…。