「お前が、姉様に似てるからだ」
「姉様?」
ふと連れてこられたのは、厨房のような広場。
唯はそこに腰掛けると、亜子も座らせた。
唯はポケットから写真を取り出す。

「これが、姉様だ」
唯が出した写真には、幼い唯と女の人が写っていた。
それは私そっくりというか…もう私だった。

「こんなに似ている人が、世の中にはいるんだね!!」
亜子は関心して目を光らせて写真をジロジロと見る。
唯もあはは、と笑うと、話を切り出した。

「姉様は…亡くなったんだ」
「え!!そうなんだ…」
亜子は申し訳なさそうに肩をすくめる。

「何でなくなったの?」
気付くと口が開いていた。
我に帰ると、亜子は慌てて何でもないと訂正した。
しかし唯は態度を変えることなく話してくれた。

「6年前、ある賊が戦いをせず、協力していく話を持ちかけてきた。我々も最初は疑ったが、奴らの話に納得して条約を結んだんだ。だけど…奴らは約束を破った。姉様を殺したんだ」

「それに反発した我々が奴らを攻撃し、奴らも我々を攻撃した。両者共に長を失い、死者が沢山出て戦いは終えた」
そう言う唯の瞳は儚げで…辛そうだった。
見ているだけで胸が締め付けられた。

「僕は許さない。絶対に殺してやる…!!」
「…唯…」
亜子は自分の腕を唯の背中にまわした。