「指輪…」
亜子はとっさに自分の手を見る。
指輪はちゃんとつけられている。
無くした訳じゃない…これは、私のじゃない。
あの少年は何をしにきたんだろう。
亜子は指輪を手に取ると、ポケットにしまった。

ー龍様に見せに行こう。
鍛錬は終わったらしく、龍と悠と美加が3人で話していた。

「だから、そもそもあんたが…」
美加は龍に対して怒っている。
悠が真ん中に入り、まあまあと中立していた。
入りづらいなあ…と背中を丸めていると、美加が私の存在に気付いた。
私を見るなり、笑顔で手を振ってこちらにやって来る。

「亜子♪どしたの？」
「ちょっと…龍様と話したいことが」
亜子が申し訳なさそうに龍に視線を向けると、気を使ったのか、美加と悠は席を外した。