色とりどりのボトルに入ったシャンプーが並んだ棚を見上げながら、いつも使っている銘柄のものを手に取ろうと腕を伸ばす。
ほのかな林檎の香りとしっとりとする洗い心地がお気に入りのものだ。
「へぇ?それ使ってるんだ」
急に耳のすぐ横で喋られ、全身が粟だった。耳を守るように両手で庇ったことりは勢いよく後ろを振り返る。
赤く染まった頬で睨むことりに気づいているのかいないのか。おそらく前者であるだろうが、彼はことりの困惑の視線を受け流し、シャンプーが並んだ棚に手を伸ばした。
当初のことりの目的をかわりに果たした彼は、手に取ったシャンプーのボトルを「どうぞ」と渡してくる。
「ありがと・・・じゃなくて!あなた昨日の高校生!?」
「高校生ってそれないだろ。柊崇也だよ」
何でここに居るのだ!?と続けようとしたことりの声を遮って、不機嫌そうに眉を寄せた彼、崇也が答える。
「・・・・あ、名乗ってなかったか」
今気づいたと言わんばかりの様子にことりはそれ以上問いただすことをやめ、受け取ったシャンプーに目線を落とした。
「にしてもラッキー。薬買いに来てことりに会えるなんて思ってなかったし」
何故カフェではなく、ドラッグストアにいるのか。昨日の今日で会うつもりはことりにはなかったが、彼は嬉しそうに声を弾ませる。
「・・・・薬って、どこか悪いの?風邪?」
「いや、ただの酔い止め。それよりさ一晩あげたデショ?俺と付き合うって答えは出た?」
「!?」
言われた言葉に固まったことりの手からシャンプーのボトルが滑り落ちる。大きな音を立てて足元に落ちたそれは、ごろりと横たわるように転がった。
「・・・何してんの、ほら」
腰を屈めことりの代わりに転がったボトルを手に取った彼が呆れ顔でそれを差し出す。
「あ、ありがとう」
受け取り、今度は落とさないよう両手でしっかりと持った。
ほのかな林檎の香りとしっとりとする洗い心地がお気に入りのものだ。
「へぇ?それ使ってるんだ」
急に耳のすぐ横で喋られ、全身が粟だった。耳を守るように両手で庇ったことりは勢いよく後ろを振り返る。
赤く染まった頬で睨むことりに気づいているのかいないのか。おそらく前者であるだろうが、彼はことりの困惑の視線を受け流し、シャンプーが並んだ棚に手を伸ばした。
当初のことりの目的をかわりに果たした彼は、手に取ったシャンプーのボトルを「どうぞ」と渡してくる。
「ありがと・・・じゃなくて!あなた昨日の高校生!?」
「高校生ってそれないだろ。柊崇也だよ」
何でここに居るのだ!?と続けようとしたことりの声を遮って、不機嫌そうに眉を寄せた彼、崇也が答える。
「・・・・あ、名乗ってなかったか」
今気づいたと言わんばかりの様子にことりはそれ以上問いただすことをやめ、受け取ったシャンプーに目線を落とした。
「にしてもラッキー。薬買いに来てことりに会えるなんて思ってなかったし」
何故カフェではなく、ドラッグストアにいるのか。昨日の今日で会うつもりはことりにはなかったが、彼は嬉しそうに声を弾ませる。
「・・・・薬って、どこか悪いの?風邪?」
「いや、ただの酔い止め。それよりさ一晩あげたデショ?俺と付き合うって答えは出た?」
「!?」
言われた言葉に固まったことりの手からシャンプーのボトルが滑り落ちる。大きな音を立てて足元に落ちたそれは、ごろりと横たわるように転がった。
「・・・何してんの、ほら」
腰を屈めことりの代わりに転がったボトルを手に取った彼が呆れ顔でそれを差し出す。
「あ、ありがとう」
受け取り、今度は落とさないよう両手でしっかりと持った。