まだ何枚か残したところで、ブルブルと震えるお母さんの手から、ハラハラと手紙が床に落ちた。


「ごっ、ごめんなさい!順平、ごめんなさい!!」

「えっ?ちょっと、どうしたの?」


驚いて立ち上がったオレの足に、お母さんが泣き崩れながらすがりつく。


「許して、お願い。私を許して。ごめんなさい…!!」

「お母さん!?」


その時、バタバタと足音が聞こえた。


「順子!!」

お母さんに駆け寄り、狂ったように泣きわめく体を抱きかかえる、見知らぬおじさん。

「君、ちょっと待っててくれないか」

そう言うとおじさんはお母さんをそっと立ち上がらせ、寄り添いながら階段を上がって行った。


何がなんだか分からない。


なんでお母さんはあんなにオレに謝るんだろう。


あのおじさんは、誰?


オレは疑問だらけの心を抑えながら、さっきのおじさんが戻ってくるのを待った。


床にちらばった手紙は触っちゃいけないような気がして、そのままにしておいた。


っていうか…

触るのが怖かった。