お母さんが、首をかしげながらも期待するような表情で封筒を開け、中から便箋を取り出した。


「友美からの手紙だわ」


お母さんは、何も言わず読み進めていく。

オレはアイスミルクティーを飲みながら、部屋の中をチラ見する。


ログハウスのようなナチュラルウッドの壁に、レンガ造りのカントリーキッチン。

小花柄のレースのカフェカーテンの窓から、風が運んできた潮の香りが吹き込んでくる。


部屋の奥にあるのは、白いピアノ。



便箋を何枚かめくって読んでいるうちに、お母さんの顔がだんだん歪んできた。

字をたどる見開いた両目には、うっすらと涙がにじんでるようにも見える。


どうしたんだろう?

さっきまであんな優しく微笑んでいたのに。


突然強く吹き込んできた風が、カフェカーテンを激しく揺らす。


お母さんをこんな苦しそうな表情に豹変させるような手紙って、どんな内容なんだ?

それを書いた友美さんは、何を言いたいんだろう?


それから…

なぜオレはこんなに息苦しいんだ?