今日も頭の真上からギラギラの太陽がジリジリと照りつける。

早くも真っ黒に日焼けしたオレ。


「滝山くん、暑いでしょ?大丈夫?」

携帯の中はそんなに暑くなくて、意外と快適らしい。


「東京と比べたら全然マシだよ!海から風が吹くから」

いっそこのまま住んでしまいたいくらい。


「でもさ、なんだろうね?その荷物」

「奈緒も気になる?やたらデカいわりには片手で持てるくらい軽いんだよね~?」


そう。

オレは友美さんに頼まれた例の紙袋を、お客さんに届けるところなのだ。



「ここら辺かな~?」

住所が書いてあるメモを見る。

海岸線の横断歩道を渡って、家が立ち並ぶ細い道を入っていった。


「えっと、渡辺、渡辺…」

1軒1軒、表札を見ながら歩く。


“渡辺 義明・順子”


「あ!ここだ!」


渡辺さんの家は、オランダあたりに建ってそうな、洋風のかわいくて小さい家。

芝生が丁寧に手入れされている庭に、かわいらしい花が鮮やかに咲いている。


ピンポーン!

チャイムを押した。


「はーい」

中年のおばさんの声が聞こえる。

「はいはい、お待たせしました」

玄関のドアが開く。


中から現れたおばさんの顔を見て、オレは息をのんだ。


「えっ!?」


おばさんも、そんなオレを見てハッ!とした顔をする。


間違うはずがない。


どう見てもオレ、

このおばさんの顔にそっくりじゃん。


「あなた…順平よね?」

「…お母さん」