「という訳だ。そろそろ二人っきりにして貰えないっすか? 俺たち一応、感動の再会なんで」

勇輝に向かって、ライガはちょっとふざけた感じで言う。


『一応』って何だよ?



「わかった」

勇輝はあっさり同意。小さく頷くと片膝を立て、ゆったりとした動きで立ち上がった。

そうして、大輝の傍らへと移動し、その後ろ襟を掴んで軽々と引っ張り上げた。



「いくぞ」


大輝に掛けられた勇輝の声は、厳しさの中にも優しさが見え隠れしている、そんな風に感じた。


やっぱり……二人は血を分けた兄弟。無条件で愛しい存在なのかも知れない。

それは、ライガと静江ちゃんだって同じ。そしてヒロさんも……。




彼らの過去に生じた歪(ヒズ)みは、完全に解消した訳ではないけれど、それでも私たちは、前を向いて歩いていくしかない。

そうして、時々振り返っては、悔やんだり、苦しんだりするしかないんだ。



それが『生きる』ってことかも知れない。

良くはわからないけど……。