「ライガ……こんなんで俺の気が済むと思うなよ」

ライガの背後から、大輝が苦々しく呟いた。大輝はいつの間にやら起こした半身を、後に突き立てた両手で支えている。


「お前はもっと後悔するべきだ。俺の左足のことも――

俺なんかを信用したことも」


そう続けて大輝は、今にも泣き出しそうな顔をした。



ライガが振り返って自分の肩越しに大輝を見る。


「後悔してるわ、ボケ。お前の左足……死ぬほど後悔した。けど、お前を信用したことは後悔してねぇ。俺が後悔してんのは、その左足と――

――お前が苦しんでることに気付けなかったことだ」

ライガもほんの一瞬だけ、切なげな表情を滲ませた。けれどそれはすぐ、いつもの悪戯っぽい笑顔にのまれて消えた。


大輝はカクンと、力なく首を項垂れた。



「って言っても、まぁ、そんなもん綺麗ごとだわな」

照れ臭そうに笑ってそう言うと、ライガは難儀そうに立ち上がる。