ライガは酷く言い辛そうに口を開いた。

「静江がされたことの仕返しは、俺がもうやった。そんで今日、コイツは左足の仕返しを俺にした。これでチャラだろ? お前こそ、出る幕じゃねぇんだよ」

「それじゃあ、俺が納得いかねぇ」

「そんなもん知るかよ。こっちは納得してんだ、これ以上、余計なことすんな」


言われた勇輝はヒクッと片眉を動かすと、いきなり地に腰を落とした。そうして胡坐をかき、両腕を広げて膝の上に引っ掛けた。

二人の目線の高さが同じになる。



「煮るなり焼くなり好きにしろ。俺一人の首で足りるか?」

やけに真面目くさって勇輝は言う。


「『首』って……どこの戦国武将だよ? 野郎の首なんかいらねぇよ、気持ち悪ぃ」

ライガは軽口を叩いて笑い飛ばす。また勇輝の逆鱗に触れるんじゃないかと冷や冷やして、こっちは気が気でないのに……。



「そうか、有難迷惑か」

勇輝がフッと微かに笑みを浮かべると、

「迷惑なだけで有難さなんか、ゼロだね」

冗談ぽく皮肉を返して、ライガも笑った。