大輝の様子を冷ややかに見下ろしていた勇輝は、何かを見付けたように視線をずらす。そうして、おもむろにその視線の先へと歩き出した。


と、何を思ったか、ライガが私からそっと離れて立ち上がった。



足を止めた勇輝が身を屈めて拾い上げたのは、一度はライガに向かって振り下ろそうとした、あの鉄パイプだった。



「そうかぁ、痛むかぁ、可哀想になぁ」

ちっとも心なんかこもっていない淡々とした口調で言いながら、勇輝は大輝の元へと戻る。



「安心しろ、大輝。その痛む足――

俺がこれで潰してやる」



勇輝はゆっくりと銀色に光るそれを頭上に掲げた。


「ひっ」

大輝が短く息を吸う。


「やめて、だめー!」

咄嗟に私も叫んでいた。



けれど、勇輝は手にしたそれを、無情にも凄まじい勢いで振り下ろした。