(お母さんの病気が早く良くなりますように)

私はふと空を見ると、必ず同じことを思う。
早く。
良くなって、また一緒に買い物に行ったりしたいもん。

私は、最後のおかずを箸でつまみ、口へと運ぼうとしたとき・・・

パクっ

「へ?」
自分でもなんて間抜けな声だろうと思った。
でも、そこにいたのは女たらしな南君でも、本をいつもよんで女の子が大っ嫌いな木賀君でもなく。
風に吹かれる綺麗な黒髪が私の心を釘付けにした。
綺麗な顔。
すっと通った鼻。
薄い唇。
綺麗な茶色い瞳。
全てが完璧な、端整な顔立ちの人だった。