部屋の中は、いつもと変わらず整頓されている。


ものが極端に少ない平屋のここは、生活感がないと言われればその通りかもしれない。


唯一置いてある部屋のダイニングテーブルに蓮士と楓を座らせ、ユズキもその正面に腰かけた。





「ふふ、相当戸惑ってるねえ、」



ニコニコと笑うユズキの表情は、幼い子供のそれではない。




「お前…」

「蓮に、お前って言われる日が来るなんて思ってなかったなあ。大丈夫、蓮が拾って世話をしていたユズキで間違いないよ。」






蓮士たちの疑問は、言葉にする前にユズキが答えた。そして、ユズキの言葉は続く。





「全然何も気づかないんだもの。それが目的で桜華に取り入ったんだけど、あまりにも鈍感だから不安になっちゃったよ?まあ、全部終わるから話してあげようと思ってここに残ってたんだけどね。」






そんな言葉は、全く理解できるものではなかった。



目的?全部、終わる?何がだ。






「まずはねえ、僕の話からしようかな。もう薄々分かってるとは思うけど、僕はただの子供じゃない。」

「…じゃあ、なんだよ。」





その姿は子供のものだ。


話し方、それだけが今までと違って、受け入れきれない。


一体、なんだというのだ。蓮士はそう思った。







「……世の中には、目に見えるもので説明しきれない現象がたくさんある。蓮が望まなくても人を惹きつけるように、お姉さんがどれだけ望んでも愛を得られないように。それと一緒で、僕は死んでも消えることができなかった、ただそれだけの存在だよ。」