＊＊＊
数日ぶりに、蓮士は暮らしていた部屋へと戻った。隣には、楓もいる。
「……なんか、久しぶりだな。」
「そうだね。」
ゆっくりと鍵を回す。すると、中からドタドタと足音がした。
「れんっ！！」
「！？！？」
中から出てきたのは、ユズキだった。
飛びついてきたユズキをあわてて受け止める。
「ゆず…？」
ずっと、こいつはここに一人でいたのか？不意に頭に浮かんだ疑問は、当然のものだった。
「…やっと、疑問に思ったの？」
「は…？」
「あなたたちは、本当に馬鹿だよねえ。」
蓮士は、腕の中にいる子供をまじまじと見つめる。
見慣れた姿に、にっこりと笑う顔。
それは幼い子供のものなのに、その口からこぼれる声のあまりの冷たさに驚いた。
驚いて固まる蓮士の腕から、ユズキはするりと降りる。
「とにかく中に入れば？色々、話しをしてあげるからさ。」
ぐい、と腕を引かれるまま、蓮士と楓は部屋の中に入った。
