「君は、なんでここにいるの?」


「おうちからでてきたの。風さんがね、ここに連れてきてくれたんだよ。」


「風さん…?」


「うん。風さんはわたしを守ってくれるんだって。お母様がわたしを叩いたときも、窓をあけてれば助けてくれるの。」




誰にも言ったことのない話を、彼にする。


彼なら、きっと、何をしてもわたしを怒ったりしないから。





風さんのことは分かってはもらえなかったが、特に咎められることもなかった。





「あなたは、ここで何してるの?」



泣いているのかと思っていたが、話してみればそうでもない。



悲しげな雰囲気と、今にも泣きだしそうな不安定さは感じたけれど、少女にはそれが何なのか、何故なのか、どうすればいいのかなんてわからなかった。