「そういうことか、やるねぇ～、王子様も」
「王子様?津田くんのこと?」
私は、燐ちゃんの言ってることがよくわからなかった。
王子様って、何のことなの?
「そっ。津田のこと」
「なんで王子様?」
「それは私も知らないわ。燐、どういうこと?」
「津田は、成績優秀、運動神経も抜群、そんでもってあの容姿だからねー、学園の王子様って、先輩方にも、同級生にも、先生までファンがいるらしいよ?」
「へぇ～。初めて聞いたわ･･･。そんな王子様みたいのがいたなんてね」
「だって、ここに学園の姫様もいるからねぇ?」
「確かに･･･」
「あら?私のことかしら?」
千先輩は、どこかのお姫様みたく「ふふふ」と微笑んだ。
「でもおかしいね･･･」
「何がなの?燐」
おかしい･･･?
「実はね、王子様についての噂を聞いたんだよ」
「「噂?」」
千先輩と同時に聞いた。
「うん。王子、2年の学園のアイドルと付き合っているって噂だよ」
「学園のアイドル?」
「あー、それなら私も知ってるわ。神月百合でしょ?」
「そっ。神月先輩」
神月･･･?
「聞いたことない･･･」
「あのねぇ･･･。ひなた、もう少し人に興味もちな?」
「うﾞ･･･」
「神月先輩はね一言で言うと、津田が女性になったって感じなんだよ」
「津田くんが女性なった感じ?」
「そう、神月先輩も成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗、家事も完璧、男女かかわらず優しくて、気取らない。そういうところが人気で、ファンクラブ会員も100人超えたって」
「そ･･･そうなんだ･･･」
どうしてだろう･･･。
そんな完璧な人と付き合っているって噂があるなら仲良しだよね･･･。
なんで･･･
なんで私に告白したのかな･･･?
「まぁ、気にすることないわよ。ひなたちゃん」
「そうそう、噂なんてデマのほうが多いってっ!!」
燐ちゃんと千先輩が私を慰めてくれる。
気にする?
「私、別に気にしてませんけど･･･?」
「「えﾞ!?」」
「だから、気にしてませんって」
「気にしてないの･･･?」
「はい」