体育館の前まで来た私は、息を整えていた。
「すぅ・・・、ふぅー・・・」
深呼吸を繰り返していた私は、後ろにいた人物に気がつかなかった。
「ひーなたちゃん」
私は、後ろにいた人物に抱きつかれた。
「きゃぁっ!!」
「よっす!!」
「あ・・・燕先輩」
抱きつかれた犯人は、親友のお兄さん・海原燕先輩。
「んー、なんか硬いねー」
「そ・・・そうですか?」
「うん。つい最近までは、燕お兄ちゃん。って呼んでくれてたのに・・・」
「いつの頃の話ですかっ!?」
私の記憶では、小6までなんですけど・・・。
「うーん、小6かな・・・」
「最近じゃないじゃないですかっ!?」
「まぁ、冗談だけどね」
「冗談ですかっ!?」
「うん。で?」
「はい?」
「誰待ち?燐?」
「あ、はい・・・。ちょっと相談が・・・」
「相談?俺でよければ聞くよ?」
「えっと、その・・・」
告白のことを、燕先輩に話すか?
でも、話していいのか良くわからない・・・。
「ちょっと!!!燕兄さん!!」
「あ、痛っ」
燕先輩の顔に、バドミントンのシャトルが当たった。
「え・・・燕先輩っ!?大丈夫ですか!?」
「あー、うん。犯人はわかってるし」
「え・・・?」
「お前だろ?燐」
「あ、燐ちゃん」
私の後ろに、親友の海原燐ちゃんがいた。
「片付け終わったのか?」
「おかげさまで、なっ!!」
「そうか、んじゃ、俺は帰るかな」
「とっとと帰れ!!!この変態兄貴!!!」
「あっはっは、実の兄に対してそれはひどくないか?」
「ひどくねぇ!!つか、千姉さんは?」
千姉さんとは、燐ちゃんのお姉さんで、燕先輩の双子の妹さん。
海原家は、兄妹全員がバドミントン部に入っている。
「さぁ?」
「さぁ?って・・・。お前の双子の妹だろうがっ!!!」
「でも、燐のお姉さんでもあるぞ?」
「うっ・・・」
うん。この2人のやり取りは、いつ見ても和む。
そのやり取りをじーと見てると私の後ろから大人っぽい声が聞こえた。