ゆっくりとドアの方へ向くと、そこにお母さんが立っていた。
胸がドクリと高鳴り、肩がビクンと揺れる。
無言で部屋の中に入って来たお母さんは、私の隣な座った。
「お母、さん?」
お母さんの表情から怒ってるのか、怒ってないのか読み取れない。
「帰って来るなら連絡くらいしなさい」
お母さんはいつもの優しく穏やかな口調でそう言った。
「今、何週?」
「えっ?」
「赤ちゃん」
「20週」
「もうどっちかわかってるの?」
「女の子だって……」
「そう……」
お母さんはそう言って、笑顔を見せて、私のお腹に手を当てると、ゆっくりとお腹を撫でた。
あれだけ反対していたお母さん。
笑顔でお腹を撫でるお母さんは少し怖いような……。