「ねぇ?聞いてる?」



彼の声で我に返る。



「見ちゃったよね?」



私は彼の言葉にコクンと頷いた。



「そっかぁ、見ちゃったんだぁ」


「あ、あの……」



やっと声が出た。



「ん?」


「わ、私、塾へ行かなきゃ、いけなくて……。この事は誰にも言いません。だ、だから……」


「残念だったね」


「えっ?」


「あんなとこ見られて、塾に行けると思ってる?家に帰れると思ってる?運が悪かったね」



彼はそう言って再びニッコリ微笑んだ。


人を殺めて笑ってられるなんて……。


何で?