「巧、ありが--……」




「オイ」




と、と言葉を続けようとした私の耳に突然飛び込んできた、明らかに機嫌が悪いのだろう、低く響いたその声。






その声が聞こえてきた方向に、ゆっくり、ゆっくりと顔を向ける。




「……っ」





すると、真っ黒の瞳と目が合った。







……ああ、やっぱりコイツか。







そいつは暫く私を見つめ、急に目を逸らすとズカズカと音を立てて巧の部屋に侵入した。






……っておい。






(言ってなかったけど)
ここ、マンションだよ!?











ここ、最上階だよ!?







ねえ、圭さん。



あなた、ここが何階だか理解していらっしゃいますか?






最上階だよ、最上階。






じゅ・う・に・か・い!!





12階なんだってば!!









「圭っ、何やってんの!! 足音、下の人に響くでしょ!?」