「……まいったな」

普通の声で、普通の表情で、


本当の彼女が顔を出した。


「あとちょっとで、だまし通せるって思ってたんだけどな……。永井先生だったらだませた気がするんだけどな」


「永井先生も気づいてたよ。あいつは以外と鋭いから」


「え?知り合い?」


「大学一緒だから」


「へ~。……いいな。絵が好きで、さらにそれを描ける人たちって。あたしもそうなれたら、よかったのにな――……」


ニッと口角を上げる彼女にどうしてあげたらいいのかまるで分からなかった。


すべてを取っ払った彼女は確かに大人というにはまだ幼さの残る高校生だった。


ここまでの素の彼女は初めてで。


いつか化けの皮はいでやるなんて思ってたけど


実際それを見たら、なぜだろう―…


切なくなった。