「ホントは、お前だって気づいてたくせに」


噛み締めた唇が小さな朱に染まる。


「……」


「もう、いーんじゃないの?ちなみに俺がそれを知ったからって何も変わりはしないんだし」


白川のこわばった顔から力が緩んでいく。


差し出したペールブルーのハンカチが朱に染まっていき


張り詰めていた緊張感がゆっくりと解けていく。



そしてどれほどの時間がたったのだろう。


そこにある沈黙は必要不可欠だから、息苦しいわけでもなく。


むしろ優しかった。