「それって……あと一万円足りないんだけど」


「なッ……」

「、」


長身から発せられたこの『あと一万円足りない』攻撃にダメージを受けまくる俺と白川。


すっげ。ストーカーまがいなことしておいて、この発言。


(時代を感じるわ~。ジェネレーションギャップってやつ?あ、そんなには歳離れてないか)


「あと…いち?まん?」


コクリと頷いた富永は攻撃をやめる気はないらしい。


どうしたものか、と思案する間にも、俺の背中は『ちょっと!助けなさいよ!』という視線を痛いほど受けていて。


ポケットの小銭入れを覗く。


(ああ……)


さらば諭吉。


「……これでピッタリでしょ。富永センセー」


「……消費税は?」


頭の中でぷっち~んと血管が切れた音がして。


「死ね、この若禿げ。ヅラって分かってんのよ!」