「いや……白川に話があって」


と少し気まずそうなのは、長身の神経質そうな男。


四月に赴任してきた英語科の新米教師だそうだ。


どっかのおぼっちゃまらしくて、コネで就職。私立のお嬢様学校ではよくある話。


「あ、そうですか」

俺が白々しく答えている間に、さっきの鳩の流れで白川は俺の後ろに半分身を隠してしまった。

(…まる投げ反対)


「そう言えば、白川。前に先生に本を貰ったって言ってたろ?」



肩越しに視線をやるとコクリと頷く白川。


(少し迷惑そうな表情がちょっとムカつくんですけどー!)