嘘だった――…


1パーセントなんて嘘だ。本当はそれにも満たないはずだ。


だって香織は知らないから。あの日の俺を。


大学で、やる気のない油絵を描く俺の横で、香織がぽつりと『私、修司と付き合う』と言ったあの時。

ホントはあと少しで香織を抱きしめてしまいそうだった。

『行かないで』って、『ホントは』って抱きしめてしまいそうだった俺を、キミは知らないから。

『修司もきっと香織が好きだよ』と香織の背中を押したのは俺じゃダメだと思ったから。

きっと俺といても彼女は幸せじゃないから。


どうでもいいと生きてる俺は香織にふさわしくないから。


そして修司がいい奴だから。