頼んだコーヒーとオレンジジュースがテーブルに並べられたのを待っていたかのように、香織が言った。

「で、話って白川さんのことでしょ?」


コーヒーを一口飲み、うなづく。


「白川杏奈。アイツ何者?お前どう思う?」


「何者って、いい子でしょ?成績優秀、クラスでも好かれてるし。優等生」


「……そんだけ?その目は節穴かよ」


「何よ?」


「優等生って面してるけど、俺が知ってる白川は勝気で生意気で、可愛げない……一面もある。あ、これはまあ、どうでもいいんだけど」


(なにをどうでもいいことを口走ってんだ、俺)


「じゃなによ?」


「お前、アイツの絵みたか?」


途端に香織はニコニコする。


「やっぱジロー気づいた?」なんて言いながら。


「あの無機質な絵、ありゃどーなんだよ」


「彼女、星野洋子の娘とは思えないでしょ?」


そうなのだ。そこなのだ。