(ああ……なんか疲れた)


白川を送り出した美術室でくわえた煙草に火をつける。


たまにはいいだろ。最近いろいろあったから。


バタン!


ギクリとして振り返った先には、ドアから顔を出しニッコリ微笑む白川。


「なんだよビビらすんじゃねぇよ」


「そのくらいは内緒にしといたげるよ。さっきあたしの心配してくれたし」


声がさっきよりいくぶん明るくなった気がした。


「なにが?」


「助けてくれるんだよね?」


「ああ、それね。気がむいたらね。てかそんなこと言いにきたの?早く帰れよ、このエセ優等生」


「ねぇ」


「あ?」


「推薦取れたら、またあたしをあげてもいいよ?」


「は?」


「なんちゃって」


ペロリと舌を出してケラケラ笑う白川。


(いつもそうしてたらいいのに)


いつも普通にしてくれてたら、俺がやきもきする必要も面倒だと思う事もないんじゃないかと思うんだけど―…