きっとこんな情事にも慣れてるに違いないって思ってた彼女は。


静かに抱かれるだけで、


時折小さな吐息を漏らすだけで。


そんな彼女に『啼けよ』なんて変な征服欲まで掻き立てられてしまった。


彼女はそれでも小さな悲鳴をあげるだけ。


彼女を抱いたけれど、抱き合ったわけじゃなかった。


そして眠りに着いた彼女の陶器のような肌に散る朱を見つけてしまったこの俺に残ったのは罪悪感。


真っ白な紙に真っ黒なインクを垂らしてしまったようなそんな罪悪感を抱えて俺も眠りについたんだ。


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