今宵、一晩だけでいい。


それだけでいい――……


『ホントだよ』


『嘘つき――……』


『うるさい』


桜色の唇を塞いで、キスをして。


『……ジロー寂しいの?』


俺の胸を押し返した少しの合間にそう問う彼女。


だから俺はそうだよ、のキスをまた落とす。


世界中、寂しさを抱えてない人なんていない。


寂しい。


だから――


今宵をその色で染め上げてよ。



三度目のキスで彼女の白い腕から力がぬけていった。