教師なんて首になっても良かった。永井先生には申し訳ないけど。


この職に未練なんてなかった。


だけど結局彼女の油絵とデッサンの指導をすることになってしまったのは、たぶんケータイを差し出した彼女の表情のせい――


「じゃ、はっきり言います。……あの日、先生は17歳だったあたしを抱きました。好き勝手に。これって事実です。先生は一生、あたしに負い目があるでしょう」

と白川は上目遣いに俺を睨みつけた。


(えっと……)


ドキンと胸が騒がしく鳴って嫌な汗が背中を伝う。


それはお前だって同意の上だったんじゃねぇの?っていつもの俺なら思っちゃうし、そう言うと思うのだけれど。


あの時はどうしてもそれが言えなかった。


だって。