手持ち無沙汰でなんとなく居心地の悪い時間が過ぎる。


ふと見れば、窓の外では鮮やかなオレンジが雲の隙間から強い光を放っている。


雲に遮られてはまた違う場所から強い光を放つ太陽。


まるで白川みたいだと思った。


「もう、今日は遅いから帰れよ。またお前の気持ちが落ち着いてから話そう」


結局口にしたのはこんな気の利かない台詞。



傷心の受験生にこんな事しか言えないのだから俺ってばやっぱり教師失格。


いや、教師になりたいわけじゃないけど、ホント向いてないことこのうえない。


この美術教師の座は早めに永井先生に返上したほうが良さそうだ。


雲に消え入る夕日を見ていたら、すっと口からパイポが抜かれた。